栗谷川瑞枝

研究テーマ

高分子材料における分子秩序度が及ぼすネッキングへの影響

高分子材料は成形性に優れているため、身の回りの至るところに利用されているが、
金属やセラミック材料の代替として、構造材料へのさらなる用途拡大が望まれている。
柔らかくて粘り強い高分子物質の多くは、伸長過程において冷延伸またはネッキングという現象を示し、
試料は均一に伸びずに降伏後にくびれを生じる。ネッキングは延伸性を支配する重要な指標であるため、
構造材料として用いる際にはネッキング現象の構造論的な理解が必要となる。
そこで、堅牢な結晶構造が連続相を形成する高密度ポリエチレン(HDPE)、
分子秩序状態が高いものから低いものまで、さまざまな分子凝集状態を有するイソタクチックポリプロピレン(iPP)、
そして結晶性高分子とは反対に、結晶相に相当する分子秩序度の高いハードなドメイン相が
秩序度の低いランダムなソフトマトリックス内に分散しているポリウレタン(SMP)をモデル物質として用いて
分子秩序度がネッキング挙動に及ぼす影響を検討した。